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第44回日本骨形態計測学会 第44回日本骨形態計測学会

第44回日本骨形態計測学会 2024年6月21日(金) - 23日(日)開催

ご挨拶Greetings

 第44回日本骨形態計測学会を福島で開催することとなりました。この学会は様々な手法で骨を視て考える学会です。学会テーマはこの学会の特性を全く捻ることなく表現し、「骨を視る、骨を考える」としました。

 私自身も形態学からこの骨の世界に入り、気が付いてみたら30年以上もずっと骨のことを考えてきました。視ている骨の姿は同様ですが、30年前に考えていた骨と、いま私が考えている骨は違います。視るという行為は変わらなくても、見えてきたものが違うからです。視ただけでわからないから、考える。学問においては考えることこそが無上の喜びです。ただ、考えるだけは妄想にもなりかねません。視るという作業はそこで自分を糺してくれます。形態は嘘をつかないからです。骨を視る、骨を考える。この短いフレーズの中に、私が基礎研究者として、臨床医として、骨に対峙してきた有様が込められています。この学会が、骨を視ることを起点として、その中に秘められた真実を考え、語りつくす場になれば良いと願っています。

 もともと組織形態計測から始まったこの学会ですが、骨を視るためのツールにこだわるつもりはありません。組織学と放射線診断学はこの学会を支えてきた2本の柱ですが、加えて新しいツールもどんどん開拓されるべきです。伝統とは守旧ではなく、限りない改革の連続だからです。偉大な先人への最大のリスペクトは、その業績を十分に理解したうえで、敢えてその道から踏み出し乗り越えることであると理解しています。守破離の精神です。特に若者が、勇気を持って、新しい視点で、この骨形態計測学会に爽やかな風を吹かせてくれることを期待します。

 学会を福島で開催することにも意義があります。東日本大震災・福島第一原発事故の後、福島の社会は大きく傷つき、多くの物を失ってきました。事故から10年以上たってもなお処理水の排出で後ろ指をさされたりするなど、スティグマは消えることがありません。多くの人に福島を訪ねてもらい、サポーターになっていただければ幸甚です。会場は東北新幹線福島駅にほぼ直結しており、そこそこ便利です。また、30分ほど足を伸ばせば鄙びた温泉も湧いています。討論の傍ら、どうぞ上質の露天風呂や美味しい地物の果実を楽しんでいってください。

第44回日本骨形態計測学会
会長 風間 順一郎